【10/10 開催レポート】国の前提をひっくり返す、自治体の中期経営計画を描け。大賞は「久 米島の海洋深層水」を活用した自治体経営構想
安宅和人氏ら審査員3名が、人口減少時代の自治体経営を描く6組の提案を審査

株式会社PoliPoli(所在地:東京都千代田区、代表取締役:伊藤和真)は、人口減少時代の自治体経営に新たな選択肢を示す政策懸賞企画「自治体の中期経営計画」の最終プレゼンテーションおよび表彰式を、2026年10月10日に開催しました。
94組の事前応募、うち17組から本応募があり、書類審査を経て、6組のファイナリストが最終プレゼンに挑みました。安宅和人氏(慶應義塾大学教授)、馬田隆明氏(東京大学 Found X ディレクター)、関治之氏(一般社団法人コード・フォー・ジャパン ファウンダー)の3名による審査の結果、沖縄県久米島町の海洋深層水を活用し、地域に利益が残る仕組みと行政改革を一体で描いた石坂未来氏が大賞を受賞しました。
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大賞(1組):50万円
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特別優秀賞(1組):25万円
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奨励賞(1組):10万円

本企画は、実在する人口1万人以下の自治体を対象に、初年度に100億円が交付されるという仮定のもと、10年で国の財源に頼らず、自律的に成り立つ自治体経営を構想する思考実験です。なお、発表された計画は応募者による提案であり、対象自治体の公式計画ではありません。
当日の様子
最終プレゼンテーションでは、人口を増やすことを目標とするのではなく、人口が減っても暮らしの豊かさを支えられる自治体経営のあり方が議論されました。
地域の海洋資源を生かした新たな収益事業、絵本の知的財産を起点にしたコミュニティづくり、地域の水源・公共施設を活用した若者の挑戦支援など、各地域の特性に根ざした構想が発表されました。収益を生み出す事業だけでなく、公共交通や水道、道路、行政組織の見直しまで含め、歳入と歳出の両面から自治体経営を捉える提案が並びました。
質疑応答では、審査員が「なぜその地域でなければならないのか」「限られた担い手でどう実行するのか」「住民の暮らしにどのような影響があるのか」といった論点を掘り下げました。設備投資の妥当性や事業の需要、自然・文化を守り育てる視点など、構想を実装するための課題について議論をしました。




受賞結果とプレゼンテーション概要

【大賞】石坂未来 氏
対象自治体:沖縄県久米島町
提案名:深層資本の島
副題:「海洋深層水」の恵みを「地域が所有する」計画
久米島で暮らし、子育てをする当事者の視点から、海洋深層水を核とした産業と自治体財政の再設計を提案しました。取水設備を拡張し、発電や養殖などへの利用を広げるとともに、町の特別会計による事業と民間事業を組み合わせ、地域に収益が残る仕組みを構想。下水道や道路、交通、公共施設などの見直しも盛り込み、人口減少を前提に、暮らしを支える機能を維持する道筋を示しました。
審査では、実際に地域に住み、その土地への理解と関わりを深めたうえでの提案であること、人口減少下で経済を回す仕組みを具体的に描いたことが評価されました。また、学校の統合など、改革に伴う痛みも隠さずに示した姿勢が評価されました。


発表内容はこちらからご覧ください:
https://drive.google.com/drive/folders/1cq_8OefmoMwYpn-TyBVW36gZzmtxCeVa?usp=sharing

【特別優秀賞】宮澤和人 氏
対象自治体:千葉県大多喜町
提案名:大多喜パレットタウン構想
日常の暮らしを支える基盤を守りながら、若者がものづくりや研究、新たな仕事に挑戦できる「始まりのまち」を目指す構想を発表しました。
地域に伝わる井戸掘りの技術「上総掘り」を活用した水源の確保や、小水力発電によるエネルギーの確保を提案。地域おこし協力隊制度を活用した挑戦者への支援、住民が参加する選抜の仕組み、使われていない公共施設の柔軟な活用などを組み合わせ、地域で挑戦を始めるための条件を整える計画を示しました。



【奨励賞】駒田楓芽 氏(共同提案者:北条羽菜 氏、小野田有梨乃 氏)
対象自治体:青森県三戸町
提案名:青森県三戸町における絵本IP産地化と環境計算基盤による自律的再生産モデル
絵本「11ぴきのねこ」を生かしたまちづくりの蓄積に着目し、知的財産の管理・活用を核に、地域の収益と関係人口を生み出すモデルを提案しました。絵本に関連する権利管理や収益化に加え、エンターテインメント・教育分野の企業を対象とした体験型研修、寒冷な気候を生かしたデータセンターの誘致などを組み合わせる構想を発表。審査では、絵本を起点に人を集め、地域とつながるコミュニティへ発展させる視点が評価されました。



塗師木太一 氏
対象自治体:鳥取県若桜町
提案名:人口減少に対応した可変型インフラと循環経済圏の構築
副題:オフサイト建築と多機能ワンストップ拠点による山岳疎空間経営モデル
人口減少に対応して移設可能なワンストップ拠点を設け、複数の機能を集約することで、一人が多くの役割を担える体制を構築するとともに、公共交通の再構築と森林資源の循環利用を組み合わせるなど、限られた人材で地域を支えるモデルを提案しました。



舩井廣平 氏
対象自治体:山口県阿武町
提案名:線を捨てて、人を残す。
副題:阿武町・疎空間モデルによる自律再生産計画(2026~2037)
「線を捨てて人を残す」という考え方のもと、道路・水道などの維持方法を見直し、森林資源や地域の畜産資源、関係人口を組み合わせる計画を発表しました。未検証の仮説も明示し、現地での検証を通じて実現可能性を確かめる方針を示しました。



山下賢一 氏(共同提案者:中出章太 氏)
対象自治体・提案名:北海道礼文町 新産業創出計画
漁業・観光に加わる新たな産業として、高山植物を生かした創薬研究の拠点形成を提案しました。質疑応答では、離島で事業を行う必然性や輸送コスト、住民への影響について議論されました。


審査員の講評:土地への理解と、実行への覚悟
講評では、地域の現実に踏み込んだ具体的な提案が集まったことに加え、計画を実行する本人の覚悟と行動の重要性が語られました。現地に繰り返し足を運び、地域の人と関係を築き、やりたいことを伝え続けることが、次の協力者を生み出し、地域を変える力になるという指摘がありました。
また、経済的な収益だけでなく、人と人のつながり、自然、文化という資本にも目を向ける必要性が示されました。その土地で人々が暮らしてきた歴史や記憶を理解し、地域固有の価値を守り育てることが、持続可能な経営構想につながるという示唆が共有されました。




本企画は、政策提言のための寄付基金『Policy Fund』でご一緒している寄付者とPoliPoliが共同で立ち上げた取り組みです。2025年に実施した政策懸賞論文「1万人未来圏」に続く第2弾として、未来の自治体経営を描く人材の発掘・育成を目指しています。
人口減少を前提に、地域に何を残し、何を変え、どのように豊かさを生み出すのか。今回の最終審査は、地域の資源や暮らしを起点に、その問いを具体的な経営計画として考え、議論する場となりました。
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